令和6年度 地域課題対応支援事業

No.6 ともに みる・よむ・体験する事業

No.6 ともに みる・よむ・体験する事業)

実行委員会

「みる・よむ・体験する」 ねりまフォーラム実行委員会

中核館

ちひろ美術館・東京

事業目的

本事業の目的は、第一にあらゆる特性のある人を包摂し、社会全体のウェルビーイングを実現するため、文化芸術体験を共有する場(フォーラム)をつくることである。第二に本事業を通じて、参加者とともに文化を創出し、地域を活性化することである。そのために、本事業では、同じ地域にある美術館2館、図書館3館、子育て支援団体、若者の就労支援団体が連携し、それぞれに培ってきた知識や経験を生かし、社会包摂の視点を持った文化芸術体験の機会を創出するとともに、より良い事業を実現するための調査や研修を展開する。

事業概要

以下の5つの柱から事業を展開する。1.ねりまフォーラム構成員の知見を高め、より質の高い事業を行うために先進事例調査とワークショップを実施する。2.障害のある方を対象にした文化芸術体験の機会の創出、および文化芸術体験へ情報保障を導入する。3.外国にルーツを持つ方を含め、乳幼児とその保護者を対象にした美術鑑賞会やワークショップ、フォーラムなどを実施する。4.認知症の方と家族を対象にした美術鑑賞プログラムの実施と美術鑑賞体験をテーマに認知症の方への理解を深めるための講演会を開催する。5.社会包摂の意識を高めるため、子どもから大人までを対象にしたワークショップを実施する他、本事業の意義を広く告知するためのWEB掲載記事の作成や、情報保障付きの記録動画を作成する。

実施項目・実施体系

1.事業の質向上のための取り組み
①先進事例調査  
                             
2.障がいのある方の文化芸術体験へのアクセシビリティを高める取り組み
②地域で活用するツールをつくるためのインクルーシブデザインワークショップ   
③手話通訳つきギャラリートーク                        
⑥障害のある方とともに美術館を楽しむためのワークショップ

3.子どもとその保護者を対象にした文化芸術体験の創出              
⑤出張「子育ての広場」
⑨あかちゃんのための鑑賞会                         
⑩子どもための鑑賞会  
⑪子どものためのワークショップ 
                         
4.認知症のある方や高齢者と文化芸術体験をつなぐ取り組み                 
⑦認知症のある方とそのご家族・介護者を対象とした鑑賞会            
⑧認知症とアートに関する講演会 
                     
5.社会包摂とウェルビーイングを啓発する取り組み                   
④絵本画家による講演会                            
⑫ソーシャルインクルージョンをテーマにしたワークショップ           
⑬ねりまフォーラムの取り組みを広めるための記録動画                     
⑭音声での道案内機能付き地図

実施後の成果・効果等

本事業では、最初にすべての構成団体が参加して先進事例調査を行った。視察と意見交換を通して現状の課題認識と目的を明確にすることができた。今年度は地域で活動の認知度を上げて、今後につなげていくために、告知や広報にも力を入れた。手話通訳のマークを記載した手話通訳つきギャラリートークのチラシを製作し、ろう学校やろう者関連団体などに配布した。認知症のある方とそのご家族・介護者を対象とした鑑賞会と認知症とアートに関する講演会のチラシも製作し、地域包括センターや高齢者関連施設などに配布した。外国にルーツを持つ親子を対象にした子どものためのワークショップは、やさしい日本語で告知を作成し、ねりま区報にも掲載した。インクルーシブデザインワークショップは構成団体のみが参加して実施したが、記録映像を編集し、手話通訳つきの映像を製作し、WEB上で公開しSNSで告知することで活動の意義を広く知ってもらえるようにした。本実行委員会ではこれまで、ろう学校に聞き取り調査へ行き、手話通訳つきのギャラリートークや、手話通訳つきの施設案内映像を製作するなど、ろう者や手話通訳者とコミュニケーションをはかりながら、聴覚障害者のアクセシビリティを高める事業に段階的に取り組んできた。それを踏まえ、今年度もいくつかの事業のなかに手話をひとつの言語として組み込んだ。昨年度から継続して、美術館を会場に、子どもをおもちゃなどで遊ばせながら、地域で活動するベテランの保育士に気軽に相談ができる「子育ての広場」を開催した。参加者の73%が初めて美術館に訪れる方であり、親子で絵本や美術に親しむ機会を創出する目的を達成できた。障害のある方とともに美術館を楽しむためのワークショップでは、練馬区内の軽度知的障害者の学びの場と作業所に通所する方たちと交流し、美術館へ行った経験や印象について聞き取った後、事前に美術館について紹介する日を設けた。その際に、動画によるアクセス情報の紹介やソーシャルストーリーを初めて製作することができた。当事者の特性をよく把握している方に間に入っていただき、内容をブラッシュアップすることができた。また、美術館を楽しんでもらうためにクイズ形式の「ミッションシート」を作成したところ大変好評でほとんどの方が集中して取り組み、それぞれに楽しんでもらうことができた。このワークショップの目的のひとつは、美術館が彼らの居場所のひとつになることであったが、終了後に、ひとりで美術館に来てくれた方もいた。ソーシャルインクルージョンをテーマにしたワークショップでは、葉っぱをテーマにした造形ワークショップを軸に、科学的な視点、アートを感じる感性、平和についての思索をかけあわせ、親子で体験する場と新たな価値の創出につながった。複数の事業により、目標に掲げていた文化芸術体験を共有する場をつくり、あらゆる方たちとともに文化を創出し地域の活性化することをある程度達成することができた。

事業実績(PDF)

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